個人事業主の報酬が源泉徴収された場合の仕訳

個人事業主の報酬が源泉徴収された場合の仕訳

個人事業主の報酬が源泉徴収された場合の仕訳

個人事業主の報酬が源泉徴収された場合の仕訳について書きたいと思います。

ネットで調べると色んな意見が書いてあって分かりにくかったので、自分がやっている仕訳方法をご紹介いたします。なお、紹介する仕訳方法は、ちゃんと税理士さんにもチェックしてもらっています。

源泉徴収が行われるケース

クライアントから請けた仕事の報酬をいただく際に、以下2点に当てはまる場合(以下両方に当てはまる場合のみ)は、あらかじめ源泉所得税を差し引いた金額を報酬として支払ってもらいます。差し引いた源泉所得税分は、支払者が納税します。

  • 源泉徴収の対象となる報酬に該当する
  • 報酬支払者が源泉徴収義務者である

源泉徴収義務者については、国税庁の「源泉徴収義務者とは」をご参照ください。源泉徴収の対象となる報酬については、後述します。

源泉徴収の金額

源泉徴収の金額は、一度に支払われる報酬が100万円以下の場合は「所得税10%+復興特別所得税0.21%」、100万円超の場合は「100万円を超えた部分×20.42%+102,400円」となります。

一部、控除額が設定されている報酬もあります。詳細については、国税庁の「源泉徴収のしかた」をご参照ください。

源泉徴収の対象となる報酬の種類

以下のような報酬は、源泉徴収の対象となります。

  • 原稿料、講演料
  • 弁護士、税理士報酬
  • 司法書士、土地家屋調査士、海事代理士報酬
  • 外交員、集金人、電力量計の検診人報酬
  • プロスポーツ選手等の報酬
  • プロボクサーへの報酬
  • 芸能人の出演料や芸能プロダクション等に対する報酬
  • ホステスやコンパニオンへの報酬
  • 契約金、広告宣伝用の賞金、競馬の賞金

これらの報酬を支払う場合は、源泉徴収しなければいけませんが、前述したように”報酬支払者が源泉徴収義務者”でない場合は徴収は行われません。

報酬が源泉徴収された場合の仕訳

さて、今回の本題ですが、報酬から源泉徴収された場合の仕訳はどのようになるのでしょうか。とある会社からデザインを依頼された場合を想定して見てみます。

まず、売掛金発生時の仕訳です。

日付 借方 貸方 摘要
2017/5/31 売掛金 100,000 売上高 100,000 デザイン料

ここは特にこれといった特徴はありません。

次に、売掛金回収時の仕訳です。ここで差し引かれた源泉所得税分を仕訳しないといけません。

日付 借方 貸方 摘要
2017/6/30 普通預金 89,790 売掛金 89,790 デザイン料
2017/6/30 事業主貸 10,210 売掛金 10,210 源泉徴収税

100,000円の10.21%なので、10,210円が差し引かれます。なので、実際に入金されるのは89,790円になります。

1行目は、借方を「普通預金89,790円」、貸方を「売掛金89,790円」というように仕訳します。2行目には源泉徴収分を入れます。借方「事業主貸10,210円」、貸方「売掛金10,210円」とします。これで、会計上は売掛金の100,000円はすべて回収できたことになります。

借方の”事業主貸”は、”仮払税金”としても良いのですが、そうすると決算時に清算する必要があるため、私は事業主貸で仕訳しています。

事業主貸の補助科目に、「源泉所得税」という科目を作っておくと、確定申告の時に計算が楽になります。

あとがき

はじめて源泉徴収された時は、どうやって仕訳すれば良いのか戸惑うかもしれませんが、差し引かれた源泉所得税は事業主貸に計上すればOKと覚えておけば問題ありません。

源泉徴収は税金の前払いに当たります。確定申告書Bの「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」に記入するのを忘れないようにしましょう。払いすぎていれば還付金が戻ってきますし、足りなければ差額分を納税します。

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